松江/山陰バリアフリーツアーセンター
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一升餅の由来とやり方 どうして「1歳の誕生日」だけが特別なの?

2019年01月22日 15:10   松江/山陰バリアフリーツアーセンター
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ハダル@矢野です。人生50年と言われた時代、医学が発達していない時代には、赤ちゃんも苦難の時代でした。病気になれば祈祷師に厄払いをしてもらうくらいしか病気退散の方法がありませんでした。
かつての日本は、新年にみんないっせいにひとつ歳をとる「数え歳」でした。元日がみんなのお誕生日。年神様のお餅を食べて歳を得る、と考えられていたそうです。
生まれた日もほかの日と同様なんということもない一日だったのですが、1歳のときだけは特別。昔は1歳になるまで子どもが無事に育つことが大変な時代だったため、1歳の誕生日には盛大なお祝いをしていたそうです。
親戚を招いて行う「ムカレ」「ムカイドキ」などとも呼ばれるこのお祝いでは、赤ちゃんの無事を祈りお餅をつくことが多かったようです。
今もまだ残るその名残りのひとつが、「一升餅(いっしょうもち)」。「一生」に引っ掛けて「一生食べるものに困らないように」「これからの一生が健やかなものになるように」という願いが込められているそうです。また、丸い形から「平ら(平穏)な人生を送れるように」という意味もあるようです

同じく伝統的な行事のひとつに「選び取り」があります。これは赤ちゃんの前にさまざまな品物を置き、何を選んだかで将来を占うというもの。もちろん深刻に考えてやるものではなくお遊びのひとつですが、お誕生日の記念になりそうですよね。
「一升餅」って何をすればいいの?
「一升餅」とは、一升ぶんのお米(約1.8kg)を使って作るお餅のこと。お餅になると水分も加わるため、実際は2kgほどの重さとなります。このお餅を使って行う行事なのですが、地方によってやり方はいろいろ違うようです。
大きくふたつに分けると”背負わせる”やり方と、”踏ませる”やり方があるようですが、山陰地方では負わせるのが一般的です。
○一升餅を背負わせる
風呂敷にお餅を包み、斜めに背負わせます。最近では風呂敷ではなく、より背負いやすいリュックを使うことも。いずれにしても1歳になりたての赤ちゃんが2kgのお餅を背負うなんて、どう考えても無理ですよね。まだ歩けない子だっているような時期です。ただ、この行事は「無理」が前提になっています。
・背負ったまま歩いた→丈夫になるので、縁起がよい
・立ち上がれない、歩けない→長く親元にいてくれる(家を継いでくれる)
・転んでしまった→厄落としになる
つまり、お餅を背負った赤ちゃんがどうなってもすべて「めでたい」。お祝いの行事なので無理をして立ち上がらせるようなことはせず、笑顔で見守ってあげてください。
○一升餅を踏ませる
赤ちゃんにお餅を踏ませる(上に立たせる)やり方は、九州地方に多いようです。「足腰が丈夫になるように」「地に足をつけて生きていけるように」という願いが込められているのだとか。裸足でそのまま踏ませる場合と、赤ちゃん用のわらじを履かせる場合があります。


「選び取り」って何をすればいいの?
「選び取り」は、赤ちゃんの将来や職業(才能)を占う行事です。赤ちゃんの前にいくつかの品物を置き、赤ちゃんが最初に手にしたもので判定します。もちろん科学的な根拠はありませんが、イベントのひとつとしても盛り上がるのでおすすめ。
用意するアイテムは地域によっても違うようですが一般的なものと、赤ちゃんがそれを手にしたときの意味を挙げておきます。
・筆→学者・文筆業
・財布(お金)→お金持ち
・そろばん(電卓)→商人
このほかに代表的なところでは、
・箸(スプーン)→料理人・食べるものに困らない
・はさみ→職人・手先が器用
・辞書→学者・研究者
・ボール→スポーツ選手
・クシ→美容・服飾関係
・定規→しっかり者・将来大きな家を建てる
「これを用意しなくてはいけない」という決まりはありません。スマホならIT関係、スニーカーなら俊足になるなど、解釈も自由。現物でなくカードでも代用できるので、赤ちゃんの将来をイメージを広げながら用意してみるとよいですね。


いづれにしても、一族のお祝いですので、必ずという事もありませんが、どちらにしても、みんなで、ご馳走を食べてにこやかになる事請け合いなしですね。