松江/山陰バリアフリーツアーセンター
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コロナ災の中で「羞明」の患者職務質問された!

2020年09月15日 15:37   松江/山陰バリアフリーツアーセンター
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ハダル@矢野です。視覚障がいの程度を表すのは視力・視野の二つだけです。高度の羞明を持った方は、そもそも屋外に出ることは少ないし、なかなか妥当な診断が得られないこともあって、医療機関からは遠ざかってしまう方もいるため、目立たないのかもしれません。私も屋外では、防止、遮光メガネは必須のアイテムです。もっとも、盲導犬を連れていますので、怪しい人と間違えられるのは少ないですが、もしも、白い杖や盲導犬を連れていない「羞明」だけの方はどうでしょうか!
なにしろ、ものを見続けることができず、光をできるだけ避ける環境にいなければならないとすれば、日常生活は相当に制限されます。それにもかかわらず、この病気は認識されていないし、現行法では障害者にも容易に認定されないからです。
眼鏡はよく見えるようにする道具なので、光の透過率の低いものは日本産業規格(JIS)のルールで、製品にはできなかったようです。そこで患者は、サングラスを二重にするとか、電気溶接用の保護眼鏡を利用するなどしているのが実態です。近頃、HDグラスと呼ばれる光透過率1.5%の羞明者用の眼鏡が、「眼科医の指導のもとに」とのただし書き付きで、ようやく商品化されました。私もこの「濃厚サングラス」は真夏のカンカン照りの屋外では必要となります。
ところで、高度の羞明を持つ患者も、時には外に出たいものです。微小な光でも入らないようにと、サングラスに深々とした帽子、現在ではそれにコロナ感染拡大防止のためマスクといういで立ちで夕刻、夜間に外出しますと、怪しい人がいると警戒され、通報されるかもしれません。事実、警察官から職務質問をされたという方も何人かいました。
ある40歳代の男性患者は「こういう格好だから職質されるのは仕方がない。だけども、光を避ける万全の準備をしているのに、巡査は強力な懐中電灯を顔に当て、サングラスを外せと要求する。すると、一気に気分が悪くなり倒れてしまう恐れもある。いったんそうなれば、回復するのに何日も何か月もかかる。だから、『ライトを当てるな』と書いた先生の診断書がほしい。職務質問を受けたら光を当てられる前に、まずこれを読んでくれと巡査に差し出すのだ」というのです。
こういう病気があることを知らなければ、懐中電灯の光が“凶器”にさえなることを、一般の方が想像するのは確かに難しいでしょう。
私たちの暮らしている社会では、健常者からは想像もつかない、高度の羞明がいかに重大で厳しい問題なのだということを知る契機になればよいと思います。
今年度の厚生労働省の障害者総合福祉推進事業で、「羞明(まぶしさ)等の症状により日常生活に困難を来している方々に対する調査研究」が始められた事を最後に申し添えておきます。