呉バリアフリーツアーセンター
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呉バリアフリーツアーセンターの活動状況や、呉市内の観光バリアフリー情報を掲載してきます。

合理的配慮の義務化が求めているものは何か

2021年06月26日 12:20   呉バリアフリーツアーセンター
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さて、前回の記事では「障害者差別解消法」が改正され、民間事業者の
「合理的配慮」提供が義務化されたという話題を取り上げました。

私も車いすを用いる障害者の一人として今回の改正を嬉しく思います。
一方、気になることもあります。というのは、「民間事業者」に
新たな「法的義務を課した」ということだけを見ると、
この法律が私たちひとりひとりに何を求めたのか、一番大事なところが
見えなくなってしまうと考えるからです。 

「合理的配慮」はもともと、「障害者権利条約」で定めている
"Reasonable accommodation"という語を日本語にしたものです。
"Reasonable"は、「理にかなった、筋の通っている」
"accommodation"は「調整」を意味します。 

合理的配慮の提供に当たっては、事業者の事情だけではなく
何よりまず、提供を求めた側のニーズを踏まえた上でなされる必要があります。
また、「できない」ことについて「できない」ということは可能ですが、
当事者双方にとって筋が通っていることが必要です。
このように事業者に一方的な負担を求めるものではありません。

一方、配慮の提供を求める側からみると、配慮を求める権利は保障されていますが
要望した内容がいつでも、何でも満たされるとは限りません。 
要望が通らなかったからといって、それが直ちに「差別」となるわけでは
ありません。 

障害者差別解消法の特徴は、障害のある人々を取り巻く差別を
人と人の関わりの中に見出し、「対話」と「調整」によって
差別を解消し、すべての人々の権利を保障しようという作りに
なっていることです。

合理的配慮を求める権利が保障され、提供する義務が課される。
それは障害の有無に関わらず、等しく扱われる、
暖かくも厳しい社会でもあるのです。 



改正障害者差別解消法が成立−民間事業者による合理的配慮の提供が義務に

2021年06月24日 14:54   呉バリアフリーツアーセンター
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5/28、国会で改正障害者差別解消法が成立しました。
改正のハイライトは、民間事業者による合理的配慮の提供が
努力義務から義務へと改められたことです。


事業者による合理的配慮の提供を義務化するかどうかは
賛成する意見がある一方、事業者の状況や障害のある人達のニーズも
様々であることから、慎重な意見も多かったようです。


事業者の方も障害のある方もお互いの状況を踏まえながら
サービスの利用にあたって必要な調整をしましょう。
調整をするにあたって、対話の窓口を閉ざしてはいけません、
というのが、改正の趣旨です。

合理的配慮は、特別なことを求めている訳ではありません。
鉄道やバスであれば、乗り降りして目的地に向かいたい。
ホテルであれば快適に泊まりたい。
レストランであれば、美味しく食事をしたい。


こうしたニーズは、年齢や障害の有無に関係なく、
すべてのお客さんに普遍的なニーズです。
けれども、障害のある方や高齢の方の場合
さまざまな理由でそのニーズが満たされないことがあるのです。


利用にあたっての「バリア」を解消し、快適にサービスを利用する為に
何が必要かどんな対応が可能で、どんな対応が不可能か
代わりにどんな方法があるか
それを事業者とお客さんで「一緒に」考えましょう
というのが合理的配慮の考え方です。

ですから、基本的には、鉄道会社は鉄道会社の、
ホテルはホテルの、レストランはレストランのサービスを
障害の有無によって分け隔てることなく
提供することだと理解していただければハードルも下がると思います。